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『映画、観てますか』 [西高1回生寄稿集]

西高1回生 埜口  滋

 映画、観てますか?
 私は、月に1、2本、年に10数本観てます。最近はカンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞した「万引き家族」を観ました。面白かった。最近私が観た日本映画の話題作は、ほとんど間違いなく面白い。



映画 映写機イラスト.jpg 若いころから映画好き。学生時代は渋谷、新宿の入館料100円の名画館を見て歩いた。というより4年次には名画館巡りのために、大学の受講時間を正午前後に合わせて選択していた。「ずーっと学生でいられたらいいのに」と思いながらも「映画関係の仕事なら、就職してもいいかな」と思っていたぐらい。といっても、そのための準備も何もしなかった私は、全く違った世界に進み、あっという間に現役世代を過ぎてしまった。年金世代になって、映画は空いた時間を過ごすほどよい趣味になっている。


 ということで、暇を見つけては映画を観る日常。「万引き家族」を観る数日前には「モリのいる場所」を見た。東京・池袋近くのアトリエ(自宅)敷地内の狭い空間で、植物やアリなどを描き続けた仙人(本人はこの表現を嫌ったそうだが)画家、熊谷守一の晩年を描いた作品だ。自宅を取り壊して建てられた小さな美術館を、7,8年前、孫と訪ねた。彼の著書「へたも絵のうち」に掲載された絵を含めて味わい深い作品が並んでいた。画家でもある娘さんが館長をしていて、コーヒーをごちそうしてくれた。

 「万引き家族」の何が面白かったのか。
 血のつながりのない「家族」の、たわいない物語ではあるが、血のつながりのある「家族」が、いまや見失ってしまった温かい何かを見せてくれたような気もする。リリー・フランキーのいい加減さ、安藤桃子の体当たり演技など、初めて知った俳優たちの魅力もさることながら、がん闘病中と聞く樹木希林の演技はさすが。彼女は「モリのいる場所」にも妻役で出ていた。演じることに力を注ぎこむ俳優のパワーに驚かされた。少年役のまっすぐな視線、終盤の急展開など余韻が残るいい映画だった。
 「李下に冠を正さず」とか「信なくば立たず」などと言いながら、その真逆の言動をしている国のトップリーダーに対するアンチテーゼでもあろうか。

 日本社会から取り残されたような人たちの、ちょっと外れた価値観や日々の営みを描いた映画が、なぜ外国の映画祭の最高賞を射止めたのか。この映画で描かれた日本人のどこに彼らは共鳴したのか。そんなことを考えさせられる映画だった。

・是枝裕和監督 『万引き家族』公式サイト :http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/ 

・沖田修一監督 『モリのいる場所』 公式サイト:http://mori-movie.com/
*福岡栄城会では、同窓会員の方々の投稿をお待ちしております。
投稿先 eijo.fukuoka@gmail.com

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