SSブログ

原点「弘道館」 [栄城会館資料室(母校沿革)]

 佐賀西高等学校の前身である佐賀中学校は、明治9年佐賀変則中学校として、佐賀藩の藩校である「弘道館」跡地に開校しており、今年は創立140周年になります。
 中学校はその後、城内を経て西高の現在地に移転し、跡地には記念碑が建立されています。
弘道館記念碑 拡大.jpg

弘道館記念碑 小.jpg

*記念碑前にある説明札
弘道館記念碑 解説文.jpg

佐賀藩の藩校は「弘道館」(学館)といい、八代藩主鍋島治茂が1781年(天明元年)に創設したもので、後に水戸・但馬と並んで天下三弘道館の一つと称されました。
 松原小路1900坪の敷地に文武稽古場を建て、古賀精里(後の寛政の三博士の一人)を教授に朱子学を中心にした藩士教育を行い、人材の育成に努めました。
 九代藩主鍋島斉直の時には、精里の子古賀穀堂が教授になり、「学制管見」を著し、十代藩主になる鍋島直正の侍講も勤めています。
 十代鍋島直正は、1839年(天保10年)に北堀端の現在地(ここは東端)5400坪に整備拡張し、弘道館・蒙養舎に七局六寮のほか大講堂・武芸場・厨房などを備え、学館予算も大幅に増額し、大規模な学校になりました。また藩士の子弟に限らず教育することにし、翌年六月の新築開講にあたり、「文武を励み、国家(藩)の御用に立つ様心掛くべし」と訓示されました。
 学課は儒学・和学・漢学・兵学・筆道・習礼・算術・槍術・剣術・柔術・馬術・砲術・水練・蘭学(洋学を含む)、さらに洋式操練も加え、厳しく文武に研讃を積ませています。1855年(安政2年)に始まる長崎海軍伝習には幕府の人数を上回る最多の48名を参加させ、海外の最新技術を学ばせています。
 明治新政府で活躍した副島種臣、大木喬任、大隈重信、佐野常民、江藤新平、島義勇などは皆弘道館の出身でした。弘道館を中心とした徹底した教育による優秀な人材の育成が、幕末の佐賀藩が全国に先駆けて近代化を成し遂げる原動力になったと考えられます。
 この記念碑は1923年(大正12年)三月の建立で、題字は十二代侯爵島直映の揮毫、碑文は文学博士久米邦武の撰、中島雅明の書になるものです。
kinennhi.jpg

弘道館記念碑 碑文.jpg

*文学博士久米邦武に関しては、久米美術館のホームページが詳しい。
http://www.kume-museum.com/museum.html#museum3

*弘道館之図(文化遺産オンライン)
http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/260752 
*文化御城下絵図( 同上   )
http://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/180815
*学館図  (文化遺産オンライン)
http://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/173414

*「蒙養舎」は15歳以下の子弟教育機関。1872年(明治5年)明治新政府の学制改革により一旦廃校、1874年(明治7年)7月 勧興小学校として再興。1913年(大正2年)12月 現在地に新校舎落成。翌年11月移転。(勧興小学校沿革より)

*弘道館記念碑と徴古館
徴古館.jpg

記念碑と徴古館.JPG

*徴古館は、鍋島家12代当主直映公により昭和2年に創設された佐賀県内初の博物館。
 昭和の激動を経て今日では、旧佐賀藩主・侯爵鍋島家伝来の歴史資料・美術工芸品を展示する博物館として親しまれています。
*徴古館ホームページ
 http://www.nabeshima.or.jp/main/

*弘道館以外の佐賀藩校
1)致遠館 ・・・長崎に幕末から明治初期にあった「英学塾」
 宮島醤油(株)のホームページが詳しい 
 「去華就実」と郷土の先覚者たち、第5回 致遠館と宮島商店長崎支店
 http://www.miyajima-soy.co.jp/kyoka/shaze5/shaze5.htm

2)好生館・・・1834年(天保5年)第10代佐賀藩主鍋島直正公により医学館・医学寮が
  佐賀市八幡小路に創設。
 佐賀県医療センター好生館のホームページが詳しい
 http://www.koseikan.jp/about/history/history/index.html
 
*幕末・明治期活躍の弘道館出身者につきましては、以下のページを参照ください。
1)副島種臣・・・さがの歴史・文化お宝長
2)大木喬任・・・さがの歴史・文化お宝長
3)大隈重信・・・佐賀市大隈記念館         さがの歴史・文化お宝長 4)佐野常民・・・佐野常民記念館  経歴紹介にある、「パリ万博佐賀藩派遣団使用書籍類」の所蔵元は佐賀県立佐賀西高等学校(佐野常民記念館寄託)。
         さがの歴史・文化お宝長5)江藤新平・・・さがの歴史・文化お宝長6)島義勇 ・・・さがの歴史・文化お宝長
*その他参考ホームページ
1)国立国会図書館「近代日本人の肖像」2)佐賀県立佐賀城本丸歴史館「佐賀の群像」
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0